君までの距離
食事の器を並べながら勝次さんが笑う。
「なにもここだけとは限らないだろう?」
「止めてよ。未也ちゃんに誤解されるように言うの。やんちゃしたこともあるけど、今は一人だけなんだから。俺がやっと口説き落としたのを無駄にさせないでよ」
高遠さんの腕に力が加わって抱き寄せられる。
なんだか腕が振るえているような気がして、アタシは高遠さんの腕に手を沿える。
「大丈夫だと思うよ」
笑いを含んだ勝次さんの声に、アタシ達は顔を見合わせて笑った。