君までの距離
「今日はどうしますか?」
担当は男の人だった。黒髪にゆるいパーマで、髭の似合うイケメンさんだ。
「髪が伸びてきたので、カラーとカットをしてもらいたいんです」
「髪、細くて猫っ毛だね」
イケメンがアタシの髪をすくって、眺めている。
「毛先が痛んで色が抜けているから、全体的に合わせようか。カットするならボブくらいかな?」
毛束を持って、鏡に写る髪をボブくらいに見せてくれる。
「そうですね。このくらいで」
「オッケイ。カラーサンプルを持ってくるよ」