君までの距離

レジで支払いをするため、バックを取りに行ってもらうと、クロークで何か倒れる音がした。

カラカラと何か転がる音と、ばさばさという音がした。気になって顔だけそちらに向けると、視界の端をなにかが横ぎり、ばさばさと頭の上に着地した。




!!なに?!



驚きで固まっていると、慌てたイケメンが鳥かごを片手にやって来て、しきりに謝ってきた。



「ゴメンなぁ。実家が旅行で留守になるから、ピーコと順平預かってたんだけど、今逃げられて……」

その時、頭の上でジェーと鳴く声がした。イケメン美容師が捕まえようと手を伸ばすとジェーと鳴いて、その手をつついた。怒っているらしく頭の上でばさばさと暴れてなかなか捕まらない。

「ああ、怒んなよ順平。こいつら手のりインコだから普段ウチで放し飼いなもんで、閉じ込めたことに怒ってるらしい」



しばらくするとアタシの頭で落ち着いたのか、二匹でクルクル、ピチュピチュと仲良く鳴きだした。



「……」

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