君までの距離


「あんたには不思議と動物に好かれる所があるのかもな」

「……あんまり嬉しくないです」


インコがいなくなった髪に手をのばす。
ガラスに写る姿は、カットしたばかりなのに、ぼさぼさになっていた。安心したのと、がっかりしたので、ため息をつきながら髪を直す。



「まあ腐るなよ。人間だって動物だろ。きっと好かれるんじゃない?いいことあるって」

「そうならいいですけどね」


イケメン美容師は、やっと捕まえたインコにお辞儀をさせながら、腹話術みたいな声を出す。



「ゴメンネ、オレ順平。オネエサンのアタマ居心地ヨカッタヨ。マタアソビにオイデ」

「今度は頭にとまらないでよね」


「カンガエトク」



つい笑いが漏れる。イケメンなのに、面白い人だ。

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