君までの距離
「…オレのことわかったんだ」
掠れた声がして、アタシは高遠さんを見た。
高遠さんは真っ直ぐこっちを見ていて、アタシの心臓はドキドキと早くなる。
「見に来てくれたんだよね、ありがとう」
にっこりと笑った顔は、とても綺麗で眩しいくらいだった。
いきなりの芸能人スマイルに、アタシの頭は真っ白になってしまう。
「初めて、舞台を見て…凄いなぁって思いました」
どこがとか、何がなんて
真っ白になった頭からは飛んでしまって続く言葉が出てこない。
アタシはただただ圧倒されていたのだから。
にっこり笑った高遠さんは、アタシの手から感想用紙を抜き取った。
「ずいぶん時間をかけて書いてくれたんだね。大切に読ませてもらうね」