君までの距離
引き戸を開けると、こじんまりとした和風の食事屋さんだった。
座席はカウンターと、四人掛けのテーブル二つ。奥に階段があり、二階には個室があるらしい。
入り口で、お店の人と視線が合う。
あれっと驚いて目をみはったものの、アタシを見て席をすすめてくれる。
「なんだかお疲れだね。ここ座るといいよ」
包丁を研ぎながら、カウンター席をさした。
言葉に甘えて、ふらふらと席につくと、すぐにお冷やが出てきた。
「ありがとうございます」
一気にグラスを空けると、笑いながらお代わりをくれた。