君までの距離
手慣れた作業で出汁をはり、玉葱と鶏肉を加える。調味料で味付けして卵でとじるまでアタシはみとれていた。
目の前に出された丼の美味しそうなこと!
アタシのお腹がぐーっと鳴った。
「あはは。そんなに見てないで早く食べな」
「やー もうすっごい美味しそう!いただきます!」
卵はとろっとろ、鶏肉はぷりぷり、玉葱のしんなり具合もたまらない。
はぐはぐ夢中で食べていると、店長はお漬物とお茶を出してくれた。
「そんなに喜んでもらえたんじゃ、作ったかいがあるねぇ」
「だって美味しいです!今まで食べた親子丼で一番美味しい!」
その言葉に店長は破顔した。