君までの距離
それでも恋愛初心者のアタシが、近づきたい人がいる。
リアルな恋愛を求めていなかったアタシが、気持ちを揺さぶられた人。
あの出会いは運命だった。少なくともアタシの中で世界が変わった。
高遠さんの見ている世界を知りたい、理解したいと切望している自分がいる。
人を好きになることが、こんなにも自分を変えてしまうってことが初めてわかった。
「アタシ好きな人がいるから、尾上さんと付き合うとかないよ」
「えっ彼氏?先輩、いつ作ったんですか~」
ふるふると頭を振る。
「違うよ。ただの片思い。でも他の人を好きになるなんて考えられない」
高遠さんはアタシのことなんて知らない。アタシの一方的な思いでしかない。
それでも好き……
ファンの子は、みんなこんな気持ちを抱えてるんだろうな。