君までの距離


その時、突然アタシの体は突き飛ばされた。人混みを回って道路に出る寸前に、車道に転がり出てしまった。

突然のことに慌てて起き上がろうとしたら、下水の蓋にヒールが挟まってしまった。

「……はぁ」

彼女達がけなげだなんて、夢だ夢。結構逞しいじゃないの。視線の先には人だかりが出来ていて、頭ひとつ抜き出た俳優さんが出番待ちをしていた。

片方だけヒールをはいたまま立ち上がって、もう片方を救出にかかる。

お気に入りの靴だから、傷なんてつけないで助けださなくちゃ。

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