君までの距離

尾上さんを見つけるべく、隣の部署まで押しかけることにした。


入り口に近い席にいた女性に尾上さんの席を尋ねると、眉を潜めて『どのようなご用件でしょうか』と聞かれた。



「尾上さんに頼まれた物を届けに伺っただけなので、席を教えていただけませんか」

アタシの持ち上げた袋が気になったらしく、彼女がいい淀む。

「勝手に置かれても困ります」


「でも必要だと頼まれていた物なので、少しでも早く渡そうとお届けに伺っただけなんです」

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