君までの距離
「ありがとな。助かる」
くったくのない笑顔をむけて、アタシの頭をわしわしと撫でていった。
「もう頭やめてください。朝から髪が乱れちゃいます」
きょとんとした顔でアタシを見てから、尾上さんはふっと笑った。
「お前、恋愛経験ないだろ」
その言葉ばザクリと胸に刺さった。
「なにをいきなり…」
「ピンク色の色気がなかった。小学生レベル…いや今は保育園の子だってチューするからな」
品定めするようにアタシを見る。
「だから高遠なのか」