君までの距離
「はい?」
顎に手をかけて考えるそぶりをする。
「いや、いい。渡辺が変わってるのは前からだしな。しかしファイル力作だよな。後でお礼するから」
そう言って、営業で使うとびきりの笑顔を向けてきた。
「高遠さんプッシュしておいてくださいよー」
アタシも握りこぶしを作ってこたえる。
「了解。俺が高遠に会わせてやるよ」
「えっ」
思わず体が固まった。
「楽しみにしてろ」
ぽんと頭に手をのせて、尾上さんは行ってしまった。
えーー期待しててもいいですか