君までの距離

歩きながら尾上さんが口をひらく。


「苦手なものや、食べられないものはある」

「いいえ。大概の物は美味しくいただけます。アレルギーもありませんから」

ぱっと尾上さんが笑顔になる。


「そんな気がしてた。なんでも食べそう。じゃあ俺のオススメの所でいいね。軽く食べられるし、飲めるから」

「DVDを貸しただけなのに、そんなに気を使ってもらわなくてよかったんですよ?」

悪戯っぽい目をした尾上さんが、唇の前に指をたてる。

「いいんだよ。そんなの口実なんだから。一緒にご飯を食べるまで借りてる資料は人質だからね」

「うわっひどい…アタシが何日我慢してると思ってるんですか」


録画したドラマが見れないので、また動画を漁っていたのに!

「でもDVDの中の高遠くんは同じことを繰り返すだけだよね。会話が出来ないだろ」

「いいんです!もう画面に写ってさえいれば名場面ですから」

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