君までの距離
「…きっ…きょうわ…いいお天気ですね」
隣で尾上さんが噴き出して、くつくつと笑い出す。
「何、変に意識してる?」
「…はい」
「普段どおり、気にしないでいいから。渡辺さんは車酔いするほう」
「子供の時なら酔ったりもしましたけど、大人になってから大丈夫です」
「そう。ならよかった。じゃあ車で聞きたいCDがあったら選んで」
そう言って紙袋いっぱいのCDを渡された。
「どんなジャンルが好きか知らないから、妹のCDも借りたんだけど」