君までの距離

すっとナビに腕が伸びてスイッチに触れると、液晶画面がスライドしてCDの挿入口が現れる。

「何も入ってないから、CDを入れてみたら」

「では。お言葉に甘えて」

真一文字に口を開けている穴に、白いディスクを差し込むとすうっと吸い込まれて、音が立ちのぼる。






ちろちろと流れる渓流のざわめきは、冷たい川の流れに身を浸したように、しんと体が涼しさを感じる。

音だけなのに、その場所にいるみたい…

ゆっくりと目を閉じると、風にそよぐ木々の葉ずれが聞こえる。

悠々と鳥の鳴くのが聞こえる。なんて鳥なんだろう…

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