恋人境界線
その日からあたしは、死んだように眠り続けた。
失恋の傷み、ってもんだけじゃなく、嵐の日に雨に打たれたせいで、風邪を引いてしまった。
朝や晩の概念の無い、堕落した生活を続けて、気付いたら、大学を3日休んでた。
3日目の夜、お風呂に入るとき、洗面台の鏡に映る自分を見て驚いた。
げっそりとやつれた頬。お腹周りの肉付きも、不健康にほっそりしている。
最強の、ブス。
春臣から、毎日着信があるけど出てない。メールは開かずに、消去してる。
今更話すことなんてないでしょう。疑う余地無くそう、思った。
翌日は、学園祭。
サークルの冊子を届けなければならない。だけど未完成だから、あたしは朝早く登校して、パソコン室で作業することにした。
完成すれば、すべてが終わるような気がした。
サークルを辞めよう。
大学では顔を合わせてしまうけど、時間が経てばいずれ、気まずさは消えるだろう。
自然と話さなくなって、ノートを貸し借りしていたことや、一度だけデートしたこと。ベッドで寄り添い合ったことを。
忘れるだろう。
あたし以外は。