恋人境界線
クリスマスは二人で、隣町まで大きなイルミネーションを見に行ったし、こうして年越しも、春臣のアパートで一緒に過ごしてる。
だから誕生日も。
あたしが春臣の隣にいたい。
世界一愛しい人がこの世に生まれた、一年に一度の一番幸せな日。
あたしには、なにひとつ無駄にはできないの。今までの分の二人の溝を、早く埋めたい。春臣とのすべての貴重な時間を、この手にしたい。
…というのはあまりにも恥ずかしくて、そこまで情熱的に言えず口をつぐむあたしに、春臣は両手を差し伸べた。
「ね、志麻。こっち来て」
あたしの両手を掴み、自分の体に引き寄せる。
「座って、ここに。」
「…こ、ここに?」
相手が目で促した場所は、膝の上。「座るの?」あたしの二度目の質問に、柔らかい笑みで答える。
その表情が、比類のないほどに魅力的すぎるから。
あたしは足を開く。
向かい合っているから、春臣の膝にまたがる、際どい体勢。
少しでも体を動かしたら、あたしたちの香りは、たちまち混ざり合う。