恋人境界線
サイズが合わない…なんてことは、ないよね?
プライスカードにはFと記されていた。フリーサイズ、で大丈夫だと思うんだけど。
春臣の手は、結構大きい。骨っぽくて、指が長い。
『そう。本当は志麻のこと、閉じ込めておきたい』
その手で、腕で。
胸の中に抱き寄せられたら。
想像しただけで、ぞっとするほどに暖かい。
頬が一斉に紅潮しだしたとき、コートのポケットの中で携帯が振動した。着信は、静佳から。
「…もしもし」
《志麻ー、連絡網だよん》「え?なに?」
レジから離れ、携帯を持ち直すと耳に強く押し当てる。雑音でよく聞き取れない。
《連絡網だよ、連絡網!てか電波悪いんだけど。今どこいるの?》
「ちょっと…、初売りに」
《えー!あたしも行きたかった!誘ってよー》
ごめんごめん、と謝りながら、苦笑い。今度は耳が割れるかと思った。
静佳の怒った顔が、目に浮かぶ。
「で、連絡網って?」
《来週今年初のサークルだよ。スキー場で雪祭り!》
「雪祭りかぁ…。いつ?」
《明後日だよ。四日》