カテキョ。
あれから先生とはメールで近況報告をしていた。

成績や勉強のことが主だったけれど、あたしはその時間が幸せだった。

たいした内容のメールでなくても、先生にメールを送信するときには、何度も文章を添削した。


先生は家庭教師のバイトと掛け持ちしながら、繁華街の小さなゲームセンターの店員のバイトもしていた。


日曜日、繁華街に買い物に行くと、ゲームセンターの看板を持って立っている先生と見かけることが、あたしの楽しみになっていた。


先生はあたしを見かけると近寄ってきては、
「知佳は受験生なんだから、こんなとこでいつも遊ばず帰って勉強しろよ。」

いじわるそうに笑いながら話しかけてくれた。


先生を頻繁に見かけることは、出来なかった。

メールも限られていた。

それでも毎日が楽しかった。

純粋な気持ちで人を好きになるということがこんなにも幸せなのだと実感していた。

普通の恋愛が出来ている自分がなんだか嬉しくもあった。
 

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