カテキョ。

放課後。

先生に指定されたのは、学校裏のスーパーの駐車場だった。

初めてのデートも家庭教師のバイトもいつも少しだけ遅刻する先生だったから、先に駐車場に着いて、先生にメールしようと思っていた。


駐車場についてメールを送ろうとしていると車のクラクションが近くで鳴った。

スーパーの駐車場の隅に先生の車が停まっていた。
先生に一秒でも早く逢いたかったから、あたしは全速力で走った。


先生の車に入ると、いつもと変わらないあたしの好きな先生の香水の匂いがした。

「知佳、お疲れ様。」


そう言いながらオレンジジュースを渡してくれた。
先生はブラックの缶コーヒーを飲んでいた。

先生の運転する横顔を見ながら、先生はやっぱり大人だなって思った。

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