カテキョ。
「先生、あたしは先生が好きですよ。好きなんです。好きなんだけど……付き合えません。」


言ってしまった。

言ってしまった後の沈黙にあたしはすごく後悔した。

その沈黙にあたしはまたいろんなことを思った。

今考えたら都合良すぎるけれど、先生が『嫌だ』とか『もう一度考え直して』とか抵抗してくれたら、またあたしは考え直すことができると思った。

 
電話の向こうで先生の小さなため息が聞こえた。

それは、あたしの心に重く響くため息だった。


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