カテキョ。
不機嫌なあたしに気付かず、ショウヘイは自慢げに話を始めた。
「俺さぁ、昨日の喧嘩のことやら知佳のことを職場で話したんだ。そしたら先輩に別れた方がいいって言われてさ。」
別れてくれるの?
そう言いかけたが、言葉を飲み込み、黙ってグラスの中の氷をつついた。
ショウヘイは話の途中でも携帯を触りながら、ニコニコしていた。
あたしも待ちに待った話がショウヘイの方からあるのではないかと思い、目をキラキラさせてショウヘイを見つめた。
あいにくショウヘイはそんなあたしの視線には気付いてはいないようだった。
ショウヘイはニコニコしながら話を続けた。
「その先輩、女の人なんだけどさ、その人が言うんだよ。知佳と別れて付き合ってくれって。」
「そう……」
気のない返事をしながら、あたしはショウヘイの話に合わせて相槌をうつだけだった。