カテキョ。
先生の隣にいた小さな彼女は、サキだった。
サキはニコニコ笑いながらあたしに手を大きく振っていた。
先生はニコニコ笑顔のサキの隣でサキとは対照的に、気まずそうな顔をしていた。
先生のその時の表情を、今でも忘れることが出来ない。
「知佳ちゃん久しぶり。」
サキはきっとあたしと先生の間にあったことを知らないのだろう。
あたしは泣きそうだったけれど、悟られないように笑顔で話しかけた。
「久しぶり。元気そうだね。今どこにいるの?」
「広島の大学。ゴールデンウィークに戻って来ているの。」
何気ない会話で、先生とサキが遠距離恋愛なのだということを知った。
先生は、あたしとサキの会話を居心地悪そうにして黙っていた。