カテキョ。
あたしと先生の２人の間に流れる空気が異様だったのか、近くに居た数人の女子高生があたしたちをチラチラと見ながらコソコソ話をしていた。

あたしもほんの２ヶ月前は女子高生だった。

きっとあたしも同じように知らない人が店員さんと異様な空気を醸し出していたなら見入ってしまっただろう。


でもあの時のあたしにとっては、そんな他人の目はどうでもよかった。

あたしは先生と話をしようと必死だった。


「先生、どうしてサキなんですか？」


あたしがそう尋ねると、先生はあたしに背中を向けた。

そしてUFOキャッチャーのケースの鍵をあけて、中においてある景品のぬいぐるみを動かしたり、置いてみたり、また元の位置に戻してみたりした。

その動作は何の意味のないように見えた。


< 215 / 339 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop