カテキョ。
 ラーメン屋は歩いて10分ぐらいの距離にあった。

途中、先生のバイトしているゲームセンターの前を通り過ぎたけれど、もうシャッターが下りていた。


注文を終えて、お目当てのラーメンを待つ間、シンゴ先輩と携帯電話のアドレスを交換した。

「知佳って、この字?」


携帯電話の画面を見せながら、シンゴ先輩は明るく笑っていた。

シンゴ先輩と話をして失恋の悲しさも少しだけ薄らいでいた。

「シンゴ先輩は、いつもこんな感じなんですか?」

ふと、気になる質問をした。

「こういう感じって?」

逆に質問されてあたしが答えられずにいると、シンゴ先輩は鼻で笑って、

「俺も2次会は、ボーリングに行く予定だったんです。目の前にいる誰かさんが世の中終わったって顔していたから、あそこの居酒屋でご飯を食べ忘れてしまったんです。」

ふざけて泣いているシンゴ先輩の姿に、あたしはなんだか申し訳なくて

「すみません……」

素直に謝った。

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