カテキョ。
シンちゃんと一緒にバスに乗り、バス停から５分程度の道を送ってもらった。

バスを待つ間やバスの中、２人で他愛のない話をしていたら、あたしの悲しい気持ちは段々薄らいでいくのが分かった。


バスから降りてアパートまでの道のりでシンちゃんはあたしを誘った。

「飲みなおさない？」
「いや、ちょっと。もう今日は遅いし。」

あたしはさすがに断ろうと思っていた。

「どうせ、今から１人になって泣くだけでしょ。そしたら一緒に飲もうよ。」


あたしは図星で何も言い返せなかった。

こんな夜に１人で居たくなかったのは本心だったからだ。

「なんで、初対面なのに、そんなに優しくしてくれるんですか？」

あたしは気になってしまい、聞いてしまった。

急に真顔になったシンちゃんは言った。

「俺、陰がある子に惹かれるみたいで。知佳が持っているもの、重そうだから。」

不意にそんなことを言われてしまい、先生だけではない、過去の恋愛のこと、ヒロアキのこと、ショウヘイのこと、それに家族のこと、いろいろなことやいろいろな人があたしの頭の中に一瞬にして浮かんできた。

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