カテキョ。
自問自答しながら、様々な思いを胸に、あたしたちを乗せた車は、おばあちゃんの家に到着した。


お婆ちゃんの家の前は一面、海になっていた。

その海は穏やかに太陽の光を受けてキラキラ光っていた。

シンちゃんの両親がおばあちゃんとお茶を楽しんでいる間、あたしはシンちゃんと二人で家の前の防波堤に座って、海を眺めた。

「何、たそがれてんの?」

そうシンちゃんに言われて、あたしは胸がドキッとした。


「別に。」

先生のことを考えていたことを悟られないようにあたしはぼそっと答えた。

「仕事のことか、昔の男のことでしょ。」

ふざけて軽い感じに言われたが、図星だった。


シンちゃんは出逢ったあの日から、あたしの表情を敏感に読み取ってくれる。

「こんな綺麗な海を一緒に見ているんだから、少しぐらいは俺のこと考えろよ。」

隣で煙草を吸いながらふざけて言うシンちゃんの横顔を見て、自分の考えていたことを恥じた。


< 246 / 339 >

この作品をシェア

pagetop