カテキョ。
「そういえば、最後まで知佳は先生って言ってたな。それに敬語だったし。」

先生は笑いながらあたしの頭をこづいた。

「先生は、先生だから……」


あたしが笑いながら言い返すと、

「まぁ、俺はずっと知佳の先生だから。何かわからないことあったら連絡しな。」

そうして二人して笑った。

二人とも後ろ髪を引かれる思いだったから、そんな冗談ばかり言い合った。
 
「じゃあ、これが本当にさようならだな。知佳。」

先生は車に乗り込みながら言った。

「はい、先生。お幸せに。」

あたしはそう言って、先生に手を振った。


< 286 / 339 >

この作品をシェア

pagetop