カテキョ。
先生の車のエンジンがかかる。

先生は窓を開けて、手を差し伸べた。


あたしはその手を握り、2人でしっかり握手した。

手が離れ、先生の顔を見ると先生の瞳が潤んでいることが分かった。

「先生、泣き虫ぃ。」

あたしも泣きだしてしまいそうで、強がって先生にふざけて言うと

「知佳に言われたくないなぁ。」


先生の返答に、2人で笑った。

「じゃぁな。」

先生は手を振って、パワーウインドウを閉めた。

そして車はゆっくりと走り去っていった。

あたしは先生の車が見えなくなるまで手を振った。


大きく、大きく。
何度も、何度も。


「ありがとう、先生。そして、さようなら。」


あたしは見送りながら呟いた。
 


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