カテキョ。

先生だった。
 
 
先生もあたしの顔をみて驚いていたようだったが、すぐに自分の名刺を取り出し挨拶をした。

「サンサンテレビのディレクターの村上陽と申します。今回はよろしくお願いいたします。」

主任に名刺を渡した後、あたしにもニコニコと微笑みながら渡してきた。


主任が名刺を渡し、あたしも2人に名刺を渡した。

「こちらで理学療法士をしております、佐藤知佳と申します。本日はよろしくお願いいたします。」


「村上さん、お知り合いですか?」

あたしと先生の様子を察して、カメラマンのスタッフが、先生に声をかけた。


「そう、昔の彼女。」

冗談のようにそう言った先生に胸が苦しくなるのを感じた。


「本当?」

耳元で主任が聞いてきたものだから、あたしは笑いながら首を小さく横に振った。
 
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