カテキョ。
ヒロアキはゆっくりポツリポツリと話をした。
あまりの話の内容にあたしは、右にいるヒロアキの顔を見れずにいた。
ヒロアキが泣いているのは、鼻をすする音や時々言葉に詰まる様子から見なくても分かっていた。
ヒロアキの涙は見たくなかった。
ヒロアキは続けた。
「アイツを失ったら孤独で仕方なかった。新しく恋愛したら何かが変わるかと思ってた。」
大工という職業は、なかなか出会いないらしい。
同僚たちが心配して、合コンにも誘われたこともあったけれど、なんとなく行く気分にはならなかったという。
そんな彼の前に現れたのがあたしだった。
それから2人で長い沈黙が続いた。