カテキョ。

それからファミレスで昼ご飯を食べて、ヒロアキの家に行った。


お互いが好きなアーティストのPV見ながら何回もキスをした。


でも例のごとくあたしは男の人を繋ぎとめておく術を1つしか知らなかった。
ここで身体を重ねねないとヒロアキもいなくなる気がしてならなかった。

そんなあたしの様子を見て、ヒロアキは何かを感じたのかポツリと言った。

「別に知佳は居てくれるだけでいいんだよ。何もしなくていいんだよ。知佳の気持ちが本気になってからでいい。俺は何も知佳のこと知らないけど、すぐにどこか行く人じゃないし……。」


自分の弱い部分を針で突かれたみたいで、あたしは涙が溢れてきた。
止まりそうにもない涙を見て、ヒロアキは何も言わずにあたしを抱きしめ、髪を撫でてくれた。
泣きやむまで、何度も、何度も繰り返してくれた。

何も言わずにずっと抱きしめていてくれた。
 
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