カテキョ。
次の日の夕方。
その日は雨だったから市営バスで登校した。
学校からの帰り道、バスに乗り込もうとした瞬間に、あたしの携帯が鳴った。
メールではなくて電話が掛かってきた。
電話はヒロアキからだった。
この時間にヒロアキから電話があることは珍しく、あたしは不思議に思いながらも電話に出た。
「もしもし?」
「知佳?今日さぁ、友達と飲みに行ってくる。」
いつものあたしだったら束縛もしていたし、高校生のあたしにとって飲み会という大人の世界のイベントをとても嫌がった。
でもなんだか昨日の辛そうなヒロアキを見ることが辛かったから、
「はいはぁいっ。たまにはいいと思うよ。いってらっしゃいぃ。」
半ば吹っ切れたように、あたしは空元気に答えた。
あたしの電話越しの空元気を知らずに、ヒロアキは言った。
「んじゃ、行ってくる。終わるのが遅いから今日は連絡しないよ。明日連絡するな。」
「はぁい。」
そうやって電話は切れた。
今でも忘れない。私達の最期の会話。