芹沢くんの秘密。



ちょっと楽しくなってきたので、


調子に乗って聞いてみた。



「あの、芹沢くんって、なんであたしの名前知ってた、の…?」


おそるおそる、ね。


これはずっと疑問だったから。

芹沢くんは一瞬ん?と首を傾げてから、あぁ、とひらめいたように話し出した。




「新作コーナーのポップ。いつも書いてるでしょ?この間、カウンターで一生懸命書いてるの見かけたんだ。

したらそこに名前書いてあって、それで覚えた。

…まぁ、たまにすごい的外れなこと書いてるけど」




み、

見ててくれたんだ…。


たまにめんどくさくって読まないまま書いちゃうこともあって、たぶん的外れとはそのことだと思う。


恥ずかしい…。

ちゃんと読んで書けばよかったとここまで後悔したことはない。




「意外にちゃんとそういうのも見てるんだね。…今度からちゃんと書く!」



張り切ったように言ってみると、芹沢くんは大袈裟だなぁ、と笑った。



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