芹沢くんの秘密。
「萌と宇〜、俺ら先に土産のほうみてくるわ!」
「もう神社とかお寺とか飽きちゃったよ〜」
最初は神聖な空気にテンション上がっていたわたしと宗介だったが、どこに移動しても似たりよったりの変わらない景色に、飽き飽きしてきたところだった。
少し早い気もするが、『萌と宇をくっつけよう作戦』を決行することにしたわたしと宗介である。
ただ食べ歩きしたいとか、お土産みたいとか、そんな自分勝手な理由ではない。決して。
「あんたたちってほんと単純よね。数分前まで『空気がおいし〜い!』とか言ってはしゃいでたじゃない」
「まあまあ、萌。ふたりとも、俺らしばらくこの辺うろついてるから、行っといで」
宇の下心が透けて見えるようだ。
わたしたちは、二人と別れて、お土産コースへと向かった。
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「へ〜!おいしそうなのいっぱいあるね!」
わたしたちはお土産や食べ歩きで有名な通りへとやってきた。
視界の両側でいろんなおいしそうなものが立ち並んでいて、つい目移りしてしまう。
わたしたちと同じ制服を着てる子の姿もちらほらいる。
「あ、見て!わたしソフトクリーム食べたい!」
「お前な、ソフトクリームなんかどこでも食えるだろ」
宗介が心底信じられないという目で見てくる。
「食べたいものは食べたいんだもん!…じゃあいいよ、宗介にはあげないから!」
「へーへー」
渋りながらもちゃんとついてきてくれた宗介はやっぱイイ奴だと思う。