芹沢くんの秘密。
わ、
わかっててやってるんだろうか、この人は…?
心臓のバクバクが止まらない。
そしてわたしの思考は完全に停止している。
―――しかし、その時。
「スキありっ」
その瞬間、横で空気になっていた宗介に溶けかかっていたソフトクリームを食べられた。
「ああっ!?わたしのソフトクリームがぁっ!」
それによってふたたび稼働を始めるわたしの思考は、本当に食欲に忠実だと思う。
「ごちそーさま。」
しかも容赦なく半分くらい食べられてるし!
さっきから踏んだり蹴ったりだよ、わたし。
「てか…あれっ?芹沢くんは??」
いつのまにかいなくなってる。
音もなく現れて、音もなく消えていった彼は、本当に不思議な人だと思う。
「シラネ。どっかいったんだろ。…てかアイツ、知り合い?」
宗介がなぜか不機嫌そうに聞いてくる。
空気にされたのがそんなに嫌だったのだろうか。
「う、うん、まあね」
宗介はふぅん、とだけ呟いて、それ以上聞いてこようとしなかった。