芹沢くんの秘密。
ちびちびとカルピスソーダを飲みながら座っていると、なにやら数人の男子が近づいてくる気配がした。
「あ、川瀬じゃん」
「やっほ〜」
同じクラスの男子だった。
はぁ、芹沢くんなわけないよね。
残念そうな顔をするわたしにも関わらず、男子たちはテンション高く喋り始める。
「なあ、俺ら今女子とかも交えて王様ゲームしてんだけど、一緒にどう?宗介とかもいるしさ」
「…え〜…?」
ちょっと今は疲れてるんだけどなぁ。
答えを濁していると、いーじゃんちょっとくらい!と腕を引かれる。
半ば無理矢理連れていかれるところを、誰かがわたしの反対の腕を掴むことによって引き止めてくれた。
「ちょっと、待って」
凛とした、澄んだ声。
顔を見なくてもすぐわかる。
「芹沢くん」
「川瀬さん、俺と約束してたから」
そう言い残すと、掴んでいた腕をそのままに逆方向に歩きだした。
や、約束て、どういうこと!?
「え、ちょ、え!?」
なんだよ、先約あったなら言えよなー、という声を背に、わたしは芹沢くんに連れ去られました。