芹沢くんの秘密。
芹沢くんは、男子たちが見えなくなるところまで歩くと、急に止まった。
急に止まるから、背中にぶつかりそうになってしまった。
「芹沢くん、どうしたの?」
「顔が嫌がってた」
…あれ。
わたし、そんなに顔に出てたかな。
「…助けてくれたんだね。ありがとう」
感謝の気持ちを込めてニコッとして言うと、芹沢くんは照れたようにそっぽを向いてしまった。
「別に。…じゃあ、お礼にちょっと付き合って」
「?どこに?」
「こっち」
そう言うなりいきなり歩きだしたので、わたしも慌てて付いていった。
ホテルの裏口を出て、平然とした顔で慣れたように小道を歩いていくけれど、いったどこに行くんだろう。
「どこに向かってるの?」
「行けばわかるよ。もうすぐ」
小道を歩いてしばらくすると、大きく開けた丘ようなところにたどり着いた。
「わあ……、
きれい…!!」
なんと、そこは絶景の景色だった。