芹沢くんの秘密。
萌がすごく優しく教えてくれてたのが今ならひしひしと分かる。
結論から言うと、芹沢くん、ものすごいスパルタでした。
「だから、ここはこっちの公式。これも後でやり直しね」
「ひ〜〜〜〜っ、芹沢くん、厳しいよ〜!」
回転の悪いわたしの脳味噌のことも少しは考えてほしいものだ。
ドキドキする暇も、本当にありませんでした。
*******
「はぁ〜、疲れた〜…」
こんなに必死に勉強したのはきっと初めてのはずだ。
図書館が閉館する頃には、わたしは問題集の八割は解けるようになっていた。
「川瀬さん、やればできるじゃん。かんばったね」
ご褒美といわんばかりの笑顔、いただきました。
疲れがすべてふっとんだのを感じた。
「このまま行くと、あと一日あれば大丈夫かな…。金曜日で良い?」
「はい!芹沢先生!」
「はは…、なにそれ、先生って…。」
芹沢先生のスパルタ教育があと少しで終わってしまうのも、なんだか複雑な気持ちだった。