芹沢くんの秘密。
次の日。
芹沢くんと約束の日だ。
わたしは、いつも以上にぎこちない動きで校門までやってきた。
大体いつも先に来ている芹沢くんが振り返った瞬間、心臓がどきりとした。
また彼の綺麗な顔に、絆創膏が貼ってあったから。
しかも、前よりひとつ増えた。
目の横と、右の頬。
宗介の言葉が思い返される。
「芹沢くん、ケガ?大丈夫?」
「…ああ、これくらい、大丈夫だよ。なんともない」
…またその顔。
それ以上突っ込んでくるな、って顔。
わたしはあの時より、近い関係になれたのかな、と思ったいたのに。
「…そ、っか」
その拒否を突き破っていく勇気は、わたしにはなかった。
そんな自分に、嫌気がさした。
その日の勉強は、あまりはかどらなかった。