芹沢くんの秘密。
芹沢くんは、それ以上喋らなくなってしまった。
とにかく、
わたしは芹沢くんの中でそれくらい印象が上がっている、
ということでいいのだろうか。
「…ありがとう、芹沢くん。わたしもこの時間、すごい楽しみだよ。芹沢くんが来るのちょっと遅いと、寂しくなったり、して。夏休みもできるだけ来れるようにするね」
「……。僕、無愛想ってよく言われるけど…そんなふうに振る舞ってるつもり、全くないから」
そんなの、
「知ってるよ。」
それをずっと気にしていたのだろうか。
芹沢くんは、自分の心の奥に潜めている暗い何かを、隠そうとして、わたしを傷つけてしまうのを、恐れたのかも、知れない。
と、自分に都合の良い解釈をしてみる。
わたしは、思っていたよりも、芹沢くんに近い存在、だったのかも…?
誰にだって、知られたくないことはある。
それは当たり前のことで。
もちろんわたしも。
芹沢くんは、そういうことがある上で、わたしのことを対等に見てくれているのだろう。
そう、彼は言いたかったのかもしれない、と思った。