芹沢くんの秘密。
演劇で主役を務めることになると、当然練習にも毎日参加しなければならなかった。
「最初は大根だった花音も、だいぶ成長したわね!」
「今日はここまでにしようか」
クラスメイトの演劇部員に散々しごかれたわたしは、ようやく彼らの納得いく演技ができるようになってきたらしい。
「当たり前だよっ!あたしなんて今まで演劇って言ったら村人Bくらいしょっぼい役しかやったことなかったんだもん!」
もう辺りは薄暗くなり始めている。
今日、金曜日なのになぁ。
ちなみに、魔女の役をやることになったのは萌だ。
美人の魔女ということでハッキリ言ってわたしよりも目立っている気がするのだが…。
盛り上がる教室を後にし、わたしは図書室に向かう。
(もう、帰っちゃったかな…?)
ガララ…
少しさびれた引き戸を開けると、そこには、
王子様が、いた。