芹沢くんの秘密。
「やっぱり宗介だ!アホ面とかやめてよっ」
「お前…アホ面してるとこは否定しないのな。」
こいつは、クラスメイトで友達の西野宗介。
幼馴染…というより、ただの腐れ縁だと思う。
家が近くて、たまたま学力レベルも一緒ぐらいで、高校までずっと一緒の学校に通ってきた。
「お前ら、ほんと仲いいよな」
隣で苦笑しているのは、同じく横上宇(よこうえ そら)。
宇は、わたしや宗介とは違って、萌のように秀才で運動もできて、顔も良くて…という選ばれた人間である。
でも、ひとつだけ、報われないことがあった。
「おはよ、萌。こいつら朝から元気だよな」
宇は萌のことが好きらしい。
これは宗介から聞いた。
宗介はサッカー部で、萌と一ノ瀬先輩の関係も知っている。
こっちからしたら、ものすごく複雑な気持ちだ。
わたしとしては、萌と宇、くっついてほしいっていう気持ちもある。
でも、萌は一ノ瀬先輩にゾッコンなのだ。
「ふふ、そうだね」
萌は宇に対して、いまのところは友達という感覚しか持っていない。
萌は肝心なところで鈍感なのだ。
「おーい、席つけ。HRを始める」
盛り上がってたところで担任が入ってきて解散となった。
はあ、まだ月曜日かぁ。
早く金曜日にならないかな。