芹沢くんの秘密。
キーンコーンカーンコーン、
あれっ、チャイムが鳴ってる…。
「か〜の〜ん〜!起きろっ!」
「ふがっ、」
萌の怒声と背中への衝撃と共に目覚める。
授業が終わったみたいだ。
ずっと寝てたけど。
「次、移動教室!行くよ!」
「はぁ〜い」
眠い目を擦っていると、ちょうど後ろの方の席でも同じような光景が繰り広げられていた。
「宗介!いい加減起きろ!」
「まって…あと10分だけ……」
「アホか!授業始まるわ!」
わたしもあの状態だっただなんて…恥ずかしすぎる。
「あんたら…ほんと気が合うわよね…」
萌が呆れたように言う。
「……。」
言い返せないのがとても癪だけど。
宗介は運動神経は抜群だけど、勉強はてんでだめだ。
昔からテスト競い合ってたっけ。赤点ギリギリアウトの。
気が合うといえばそうなのかもしれない。
移動教室へと移動中、外のグラウンドでハンドボールをやっているのが見えた。
(………あ、)
芹沢くんだ。
白熱する試合のなか、外れたところで欠伸をしながらつっ立ってる。
そんな姿を見ても、かっこいいと思ってしまうのは、わたしだけだろうか。
「花音〜?なにしてんの、先行くよ?」
「…うん、ごめん先行ってて!」
「…は?…も〜、ほんとに先行くからね!」
さすが萌、察してくれたみたい。