咲の牙
「俺の生まれた家は、魔族の中ではかなり上の方に属していて兄弟で次の当主の座を争っていた。当然俺もその中にいたんだ」

「それで、誰が次の当主?になることになったの?」

「俺と同腹の5つ上の兄貴だよ。俺を蹴落として次期当主の座を手に入れた」

途端、皆は苦しそうに表情を歪ませた。

「俺、兄貴だけは信用してたんだ。でもあの日、確かに兄貴は俺を殺そうとした。それで逃げて逃げて力尽きたところで咲に拾われたんだ」

「そっか・・・」
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