闇の中から出たと思ったらそこは闇よりタチの悪い世界だった。
第1章 深淵の牢屋
暗い牢屋に一人
俺は閉じ込められていた。
気がついたら、目が覚めたら、ココに居た。
牢に光が入る事はない。
いや、厳密には外からの光が入らないと言う言い方が正しいだろう。
うっすらとロウソクの光で牢屋の中が照らされている。
だがそれでも暗い事に変わりはない。
それに牢屋の外からは気味の悪い声が聞こえてくる。
目を凝らして見てみるとミイラのように全身が乾いた人が見える。
頭には布を被り、片手に大きな【 鉈 】を持っている。
"ソレ" は一定のパターンで行ったり来たりしている。
さて、どうやって逃げようか
天井は暗くて高さがイマイチ分からないが、ジャンプしても手が届かない事か
らおそらく3メートルはあるだろう。
鍵は南京戸錠のようだ
昔から使っているのか、だいぶ錆びついている。
だがそれを壊す以前に "ヤツ" を何とかしなければ...
部屋を見てもコレといって使える物はない。
そんな時だった、天井が少し光ったような気がした。
上を見ても光なんかどこにも無かった。
なんだ、気のせいか。そう思って座ろうとした時。
チャリ と何かを踏みつけた音がした。
拾ってみるとそれは鍵だった。
まさか、と思って南京錠にさして回してみると鍵が外れてしまった。
ちょうどヤツは俺のいる牢から離れた所にいる。
やるなら今だ。早くこの闇の世界から抜け出そう。
そう心でつぶやいた俺は静かにドアを開けて無限廊下のような
牢道を駆け抜けた。