ハートをはんぶんこ。 ～時にすれ違うハートの行方～

当時、あたしには好きな人がいたの。
同じバイト先の人。
どっちかっていうと遊ばれちゃった？あたし？って感じで。
よくあるバターン。
恋愛の相談に乗ってて自分が恋に落ちちゃうってやつ？
情けないよね。
相手に好きな人がいるのに友達でもいいからって傍にいたくて相談に乗ってた。
エッチもしちゃった。
一緒にカラオケ行ってキスして、カレに『キスされると抱きたくなっちゃう』って言われてホテルへ行っちゃった。
バカだよね。
遊ばれてるのわかってるし、カレがあたしを好きじゃないこと…わかってるのに。
でもね、楽しかったの。
バイクの後ろに乗せてもらって、怖かったけどドキドキした。
カレに利用されてるってわかっててもマンションまで迎えに行ったりしてた。
だけどね…
ある日、カレの好きな子が結婚しちゃったの。
カレとも付き合っていたのにやっぱり婚約者を選んじゃって。
あたし、その彼女のほうとも付き合いがあって…

『佐原くんに伝えて欲しい、やっぱり結婚するから別れて欲しいって』

その彼女の言葉を聞いたとき、あたしは複雑だったよ。
どうしてあたしが伝えなくちゃいけないの？
でもあたしは伝えるしかなかったの。
カレを呼び出して事実を伝えた。

『えりちゃん、結婚するんだって。だからお別れしたいって』

カレの顔が引きつった。
飲む約束もキャンセルされてカレはそのままバイクであたしの前から消えた。
その後から、あたしと視線を合わせなくなったカレ。
あたしは苦しくて仕方なかった。
話しかけることもできず、ただカレが話しかけてくるのを待っていただけ。
でもそんな日が続いて、もうバイトを辞めようかって悩んでいたんだ。