偽りの翼Ⅰ
「なあ、花恋。お前、月影の姫にならねーか?」
突然、裕翔はそう言った。
「…………………はぁ!?」
なんでそうなる?
私はもう裕翔と喋れないと思ったんだよ!?
………それに、もう姫なんて嫌だよ。
「お前が暴走族というものに不信感を持っているのはわかってる。…でも、桜風と月影は違う。」
力強く彼はそう言う。
「………月影は温かいぞ。今すぐにじゃなくていい。今日の放課後でもいい。一回倉庫に来てみてくれないか?」
「倉庫に………?」
「ああ。」
月影、か。
桜風と敵対してるんだっけ。
でも、桜風なんて今考えれば足下にも及ばないんだろうな。
月影は全国クラスって聞いたことあるし。