偽りの翼Ⅰ
しばらく待つと腕の中から解放された。
「ごめん。敵に見られたかもしれない。」
あー、そういうことか。
桜風にいた時にこんなことは何回もあった。
それで顔を隠すためにってことだよね。
さすが全国クラスの総長。
私じゃ全然気づかない気配すら感じ取ったんだ。
「大丈夫。自分の身は自分で守れるようになったから。」
そう、桜風にいた時とは違う。
透に護られてた私じゃない。
「そっか。」
行こう、と私が言うと
「ああ。」
裕翔は歩き出した。