偽りの翼Ⅰ
上に行くと、一人の男の子がこちらを見ていた。
「え?その子、誰?」
「コイツ、昨日の夜の。」
「えぇ!?影を舞う蝶!?」
ああ、この人見たことある。
昨日裕翔の後ろにいた人だ。
「そうだ。花恋、自己紹介。」
裕翔は私に話をふってきた。
「如月花恋です。裕翔とは同じ学校に通ってます、よろしくお願いします。」
「花恋ちゃんって言うんだ。よろしく。」
やっぱり私なんてただの女にしか見えないのかな。
さすが、月影。
「俺は、夏川千尋。月影の幹部だよ。」
千尋くんは爽やかな笑顔で私に笑いかける。
なんだか、懐かしいようなそんな気がした。